伝統技術の最高峰、刃物製造が多いのは岐阜県!

〜クールジャパンの切り込み隊長は、岐阜県、福井県、新潟県〜

平成29年1月30日
NTTタウンページ株式会社

 NTTタウンページ株式会社(代表取締役社長:岡田 昭彦、本社:東京都港区虎ノ門3-8-8)は、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用してさまざまなマーケティング情報を提供しており、自社が運営するタウンページデータベース商品紹介サイト(http://tpdb.jp)では、毎月独自の都道府県ランキングを発表しています。

包丁

 伝統的な日本の和包丁は切る素材ごとに包丁を使い分ける必要があり、錆びやすいので手入れが面倒です。多くの家庭で便利に使われている三徳包丁は、戦後の日本で洋食が普通になってきた頃に、一本で肉も魚も野菜も使える、使い勝手の良い包丁として誕生しました。
 また、包丁の最高権威はドイツ製という印象も強いですが、今や日本の包丁の実力は世界トップクラス。ドイツのヘンケルス社は、岐阜県関市の工場で最高級ラインの包丁を作っています。和食ブームを背景に、せっかくなら切れ味が鋭い日本製の刃物で料理をしたいという人が、世界中に増えているようです。
 今月は、切れ味抜群の「刃物製造・卸」に関するランキングです。


【日本の包丁は世界でも大人気!】

 海外で人気の日本文化は、マンガ・アニメに和食、新幹線など多々ありますが、その一翼を担うのが包丁。
 サムライが使う刀にイメージを重ねるせいか、日本の包丁の切れ味に神秘的な魅力を感じる人が多いそうです。  
 それもそのはず、日本の包丁が優れているのは、刀鍛冶が包丁を作るようになったという歴史があるからです。
 日本の包丁が海外で知られるようになったのは、1995年にイギリスの商品テスト・レビュー雑誌「Which?」で切れ味の良さが紹介されたことがきっかけだと言われています。
 その後、国際的なナイフショーでの受賞や、海外の有名シェフが愛用していることなどから世界的な人気に。
 日本に来たら、ぜひともマイ包丁を手に入れたいと考えている旅行者が増えているそうです。
 東京の合羽橋や築地、京都の錦市場などでは、国籍に関係なく外国人が包丁を爆買しているのだとか。包丁に名前を漢字でいれてくれるサービスがあるせいか、「自分の名前を漢字で彫り込んでもらいたい」という要望も多く、案内するガイドさんは、横文字の人名を漢字に当てはめるのが大変だそう。
 品質の良いものは値も張りますが、一人で数丁買って帰る人もいるほどで、まさにお土産の大人買いをしているのでしょう。

【平和とともに刀から包丁へ】

 包丁の由来は、荘子にも登場する古代中国の名料理人 庖丁(ほうてい)で、このことから日本では料理人を包丁人と呼ぶこともあります。
 また、料亭などで料理を作る人のことを、まな板の前にいて包丁を使いこなすことから板前と言い、特に料理長を板長、店の看板料理人を花板と呼称するなど、日本では料理のクオリティーを包丁と結びつけています。日本料理が独自の発展を遂げられたのは刃物作りの技術があってこそで、切り離すことのできない両輪のようなものかもしれません。
 日本では刀剣類は、古墳時代から製造されていました。平安時代後期に武家勢力の増大により武器需要が高まり、鎌倉時代にかけて各地に著名な刀工が誕生、日本刀へと進化していきます。
 でも戦乱の世が治まると、武器である日本刀の需要が減り、それまで刀を作っていた刀工は、包丁や農業用刃物(ナタ、ノコギリ、鎌)へと供給先を変えざるを得ませんでした。出刃包丁、薄刃包丁など用途に合わせた多用な包丁が出揃うのは江戸時代の17世紀後半です。さらに明治時代に廃刀令が発令されると、刀で培った伝統技術は一層包丁へと向けられ、洋式ナイフもこなすことになります。
 平和がもたらしたのは、刀から包丁への変化だけではありません。江戸時代は世の中が安定したため、それまで貴族や武士、僧侶などが独占していたさまざまな文化が町人へと広がり、豊かな経済力を背景に元禄文化が花開きます。
 それに伴い料理文化も発展。当然、調理道具にも柔軟な対応が求められ、例えばウナギをさばくウナギ包丁は、江戸型、大阪型だけでなく、京型、名古屋型など地域によって異なる形へと進化します。刀工達は、地域の食文化の多様性にもきっちり対応していたようですね。明治に入ると洋食も広まりますが、ナイフをはじめフォークやスプーンなどもお手の物だったのではないでしょうか。

【伝統技術の継承のために】

 刃物製造・卸の登録件数は、この10年で2,017件から1,324件と減少傾向に。

<図1>業種分類「刃物製造・卸」の登録件数推移(2007年~2016年)

<図1>業種分類「刃物製造・卸」の登録件数推移(2007年~2016年)

 人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は岐阜県(11.71件)、2位は福井県(7.47件)、3位は新潟県(5.84件)に。打刃物の代表的な産地、高知県や兵庫県、大阪府もトップ10に位置しています。

<図2>業種分類「刃物製造・卸」の人口10万人あたりの登録件数による都道府県ランキング(2016年)

<図2>業種分類「刃物製造・卸」の人口10万人あたりの登録件数による都道府県ランキング(2016年)

 1位の岐阜県関市は鎌倉時代に刀鍛冶が誕生し、室町時代には300人を超える刀匠を有する刀の産地として栄えました。中でも「関の孫六」で知られる二代目兼元は、独特の鍛刀法(四方詰め)により頑丈な刀を作ることに成功し、その後関市は日本有数の名刀の産地として繁栄しました。この卓越した伝統技能は、現代の刀匠や刃物産業に受け継がれています。
 平成25年経済産業省工業統計調査によると、関市の包丁の出荷額全国シェアは約45%で、日本の包丁の半分近くを生産していることがわかります。また、平成20年には「地域団体商標」として「関の刃物」を登録し、刃物産業のさらなる発展を目指して伝統と信頼の地域ブランドを広くPRしています。今やドイツのゾーリンゲンと並ぶ、世界でも有数の刃物の産地として知られています。
(参考サイト)関の刃物

 2位の福井県は「越前ものづくりの里プロジェクト」を推進し、多数の伝統工芸品のブランド力を高めています。刃物もそのひとつで、「越前打刃物のグローバル化推進による海外販売戦略構築事業」は、経済産業省が中小企業の海外展開を後押しする「JAPAN育成支援事業」の補助金交付先にも選定されています。中でも、越前市の龍泉刃物には1本22,630円(税抜き)と高額ながら、43ヵ月待ちのステーキナイフが。ダマスカス鋼※の美しい波模様が特徴で、軽く引くだけで材料を崩さずに切れ、料理の味を引き立てると高い評価を得ています。
 ※木目状の模様を特徴とする鋼で、錆びにくくしなやかで切れ味も良いことから、高級刃物として人気。

龍泉刃物「ステーキナイフ」

<写真>龍泉刃物「ステーキナイフ」


 3位の新潟県は同じく工業統計調査によると、食卓用ナイフ・フォーク・スプーンの出荷額シェアは約96%。江戸時代初期から始まった金属加工の技術に加え、明治時代に西洋の技術をいち早く導入、大正時代には金属食器を作り始めていました。「包丁界のロールスロイス」と呼ばれるオールステンレスの「グローバル」包丁を世界で初めて生み出した吉田金属工業(燕市)や、パンを切ってもパンくずが出ない、切り口がなめらかでバターがキレイに塗れると評判の、2年待ちともいわれるパン切り包丁を開発した庖丁工房タダフサ(三条市)があります。
(参考サイト)包丁工房タダフサ

 刃物製造・卸が減少している背景には、一般家庭での包丁離れがあるようです。
包丁とまな板を持っていないという人も増えており、手頃な価格の外食産業が増えた、スーパーでの総菜の種類が増えた、カット野菜も種類や切り方が豊富になって選べるようになったことなど、包丁無しでも困らない状況になっているからでしょう。実際、野菜を洗って切るのが面倒、肉や魚を切った後にまな板や包丁を洗う手間がいやなどという声も増えています。
 では、増えてきた外食産業でプロ用の包丁が増加しているかというと、これもセントラルキッチン方式で作られた料理を店舗で温めて盛りつけるだけという形態が多いため、そこに包丁の需要はありません。
 また、不況により包丁を使いこなす料亭などの閉店が相次いでいることなどが、プロ用さえも減少させている原因となっています。
 そんな中、明るい情報を提供してくれているのが輸出で、岐阜県関市がまとめた貿易統計では刃物類の輸出額は緩やかながらも順調な伸びを見せています。特に、2014年度の包丁は前年比116.6%と、大きく増加。輸出先も北米、アジア、ヨーロッパ、中東と広がりを見せています。

<図3>日本の刃物類の輸出額

<図3>日本の刃物類の輸出額

 これだけ優れた技術ですから外国に向かうだけでなく、日本の家庭に包丁を取り戻し、国内の食文化をぜひとも守って行きたいものですね。

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伝統技術の最高峰、刃物製造が多いのは岐阜県!

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H28広表第876号