〜山梨県に続くのは、自然もアートも楽しめる長野県と島根県〜
平成28年9月28日
NTTタウンページ株式会社
NTTタウンページ株式会社(代表取締役社長:岡田 昭彦、本社:東京都港区虎ノ門3-8-8)は、タウンページデータベース(職業別電話帳データ)を活用してさまざまなマーケティング情報を提供しており、自社が運営するタウンページデータベース商品紹介サイト(http://tpdb.jp)では、毎月独自の都道府県ランキングを発表しています。
2016年7月、東京・上野にある国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されたという嬉しい知らせが入りました。
20世紀を代表するフランスの建築家、ル・コルビュジェ(1887〜1965年)の作品として、同館を含む7カ国17点の一括登録で、初めての大陸にまたがる世界遺産登録となりました。
同館は、実業家の松方幸次郎が戦前にフランスで収集した、中世末期から20世紀初頭までの西洋絵画の歴史を一堂に見られるコレクションが呼びもの。名実共に、「美術館の外観」と「展示されている絵画」の両方が鑑賞できる「芸術作品」になりました。今月は、芸術の秋にふさわしい美術館のランキングです。
【日本美術ブーム、到来!】
日本では現在、日本美術ブームが起きているそうです。2000年に、京都国立博物館で「没後200年 若冲(じゃくちゅう)展」が開催され、伊藤若冲は爆発的な人気に。その後、長谷川等伯(とうはく)、曾我蕭白(しょうはく)、長沢蘆雪(ろせつ)、歌川国芳(くによし)、河鍋暁斎(きょうさい)など、江戸時代を中心とした絵師たちに注目が集まり、各地の美術館で日本美術の企画展が開催されるようになりました。
日本美術はかつて海外で、例えば江戸後期に大量の浮世絵が海外に渡り、ジャポニズムとして印象派の画家に影響を与えるほど、高く評価されました。近年でも、日本文化好きで知られた米アップル創業者の故スティーブ・ジョブズが川瀬巴水(はすい)の版画の虜になり、店にあった巴水の作品を全部買い上げたと言われていますし、「マネジメントの父」と呼ばれる米経営学者の故ピーター・ドラッガーは日本美術のコレクターとして有名でした。
今、国内で最も注目されている若冲の魅力に日本人よりも先に気づいたのも、アメリカの美術収集家で日本人の妻を持つ、ジョー・プライスです。2016年の春に東京都美術館で開催された「誕生300年記念 若冲展」では、最大320分待ちの長蛇の列ができるほど盛況でした。
これまでの日本人は、「海外で日本のものが人気だから自分たちも見直してみよう」という傾向がありましたが、今回の日本美術ブームはちょっと様子が異なるよう。「若冲の絵を見たらすごかった」「等伯の屏風は迫力が違う」などの個人的な感想が、インターネットを介して瞬時に拡散したことで、これまで作品を知らなかった人も日本美術に関心を持つようになり、改めて自国の美術を評価するようになっているのです。
3年に1度行なわれる文部科学省の社会教育調査では、美術館を訪れる人は歴史博物館に次いで多く、特に日本美術ブームが始まった平成13年度(西暦2000年)以降、順調に増加していることがわかります。
(参考サイト ⇒http://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/1313126.htm)
<図1>「博物館」の入場者数推移
【リゾート地に美術館が多い理由】
美術館の登録件数はこの10年、ほぼ横ばいです。
<図2>業種分類「美術館」の登録件数推移(2007年~2016年)
人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は山梨県(7.25件)、2位は長野県(6.40件)、3位は島根県(4.02件)と、リゾートで人気の地域に美術館が多い結果となりました。リゾート目的で訪れた人がいると、美術館の集客力が上がるからだと考えられます。
<図3>業種分類「美術館」の登録件数による偏差値の都道府県ランキング(2016年)
こちらも少し古いデータですが、2008年の第一生命経済研究所のレポートによると、人が美術館に求めるものは世界の都市毎に違いがみられるとか。芸術の都パリでは「教養」を、上海では「心のやすらぎ」を、ロンドンとニューヨークでは「非日常的な刺激」を求める声が他都市に比べて高い傾向にあるそうです。対して東京は「気分転換」が最も高く、美術鑑賞で気持ちをリフレッシュしたがる傾向が明らかに。リゾート地の美術館ならリラックスしながら美術鑑賞ができるので、忙しい日本人には一石二鳥ということでしょうか。
(参考サイト(第一生命経済研究所)⇒http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/watching/wt0811b.pdf)
1位の山梨県には、ミレーの代表作をはじめバルビゾン派の作品を多数収蔵した「山梨県立美術館」があります。人気のリゾート地、清里には「えほんミュージアム清里」「平山郁夫シルクロード美術館」、富士五湖周辺には「久保田一竹美術館」「河口湖美術館」など、自然の中で楽しめる美術館がいっぱい!
2位の長野県は、登録件数だけでみた場合、135件と都道府県の美術館数でトップ。人口が一番多い東京都の129件を越えています。県全体がリゾートのような印象で、安曇野には「安曇野ちひろ美術館」や「北アルプス展望美術館」、美ヶ原には「美ヶ原高原美術館」、蓼科には「蓼科テディベア美術館」などがあります。
3位の島根県には、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星を獲得した、近代日本画を中心とした「足立美術館」が! 江戸時代の情緒溢れる城下町津和野には「安野光雅美術館」、松江には「島根県立美術館」などがあります。
【美術館が果たす役割と芸術の力】
美術館の展示は常設展と企画展があり、常設展はその美術館が収蔵する作品を展示するのに対し、企画展はひとつのテーマに添って一定期間、作品を展示します。国内、海外を問わず他美術館やコレクターから作品を借りることも多く、ケースバイケースではあるものの美術館同士の貸し借りには料金が発生しないことが多いとか。もちろん、輸送費やもしもの場合の保険料など、多額の経費が掛かりますが、貸してくれたからこちらもお貸しするといった信頼関係の上に成り立つのが企画展なのです。
世界で最も有名な絵画「モナリザ」は過去に2回だけ海外に貸し出されたことがあり、1度目は1962年のアメリカで、ケネディ大統領のファーストレディ、ジャクリーン夫人がフランスのシャルル・ドゴール大統領と良好な関係を築き、ニューヨークやワシントンD.C.での公開を実現させました。
2度目の貸し出しは1974年の日本で、当時の首相は田中角栄氏でした。美術作品は外交や国際交流の成果を表すものでもあり、2016年は日伊国交150周年を記念して、国内では「ボッティチェリ展」(東京都美術館~4月3日)、「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」(江戸東京博物館〜4月10日)、「カラヴァッジョ展」(国立西洋美術館〜6月12日)が開催されました。
地域振興にも美術が活用され始めています。観光客の増加だけでなく、島への移住者も増えたという「瀬戸内国際芸術祭」(香川県)をはじめ、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(新潟県)、「いちはらアート×ミックス」(千葉県)、「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」(山形県)など、地域の知名度を高めるのに一役買っています。
美術館には、選び抜かれた作品を保管し、人々に鑑賞の機会を提供することで多様な文化・歴史・感性があることを知らせる役割があります。加えて、美術作品は外交や交流の成果、地域振興の要にもなり、いわば人類全体の共有財産にもなるもの。次世代に引き継ぐためには、美術館だけでなく鑑賞する側も多用な価値観を理解する努力を忘れないようにしたいものです。さて、秋は行楽のシーズン。お出かけスポットは沢山ありますが、「ダリ展」(国立新美術館)、「ゴッホとゴーギャン展」(東京都美術館、愛知県美術館)、「クラーナハ展」(国立西洋美術館、国立国際美術館)などさまざまな企画展も開催されるので、「芸術の秋」を堪能できる美術館もぜひ候補にいれてみてはいかがでしょう。
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H28広表第463号